誰しもが経験する初恋、忘れられないその記憶――。

『百瀬、こっちを向いて。』は「嘘」から始まる、恋愛物語。
好きな人と一緒にいたいがためにつく「嘘」でどれほど自分が傷つくのか、どれほど他人を傷つけるのか。本作には、思春期の恋に潜む危うさと残酷さが詰まっている。ノボルや百瀬が抱える切なくてほろ苦い想いは、性別や世代を問わず、恋をした事のある人なら誰しもが経験する胸のトキメキと痛みを呼び起こすだろう。
甘い恋物語が多い昨今、大人のノスタルジーを呼び起こす、少しビターな恋愛映画がここに誕生した。

報われない恋と知りながら、一途に相手を思うことをやめられない。行動は大胆だが、その目は切ない気持ちであふれている。――そんなアンビバレントな魅力を持つヒロイン、百瀬陽を演じるのは、早見あかり。2011年に人気アイドルグループももいろクローバーを脱退し、本作が長編映画初主演となる。活発で男勝りながら、好きな人と一緒にいる為なら自身が傷つくことをいとわない百瀬陽の役作りのため、ストレートロングだった黒髪を45cm切り、冴えない同級生のノボルを「嘘」の恋愛で振り回す美少女を透明感溢れる佇まいで瑞々しく演じている。
奔放な百瀬の行動に戸惑いながらも、惹きつけられずにいられないノボルには、今年飛躍が期待される注目株の竹内太郎。ノボルの敬愛する宮崎先輩の彼女で、全校の憧れの的である徹子に第31回ホリプロスカウトキャラバンでグランプリを受賞し、出演映画が相次いでいる石橋杏奈。百瀬が恋焦がれる宮崎先輩にNHK大河ドラマ「八重の桜」で綾瀬はるか演じる山本八重の弟三郎役に抜擢された工藤阿須加。そして、「初恋」という小説を携えて作家となった現在のノボル(30)を演じるのは、数々の映画・ドラマに出演し、世代を超えた幅広い人気を獲得している向井理。これからの映画界を担う若いキャストのアンサンブルが凛とした空気感を醸成させている。

原作は、「恋愛の持つ切なさ全てが込められた、みずみずしい恋愛小説」と評され、女性の圧倒的な支持を得てベストセラーとなった中田永一の同名小説。脚本を担当したのは恋愛小説家としても活躍する狗飼恭子。恋の芽生えとそれを育む過程で知る痛みのエピソードを繊細に綴っている。
監督は全国の映画館で流れる「NO MORE 映画泥棒」などの演出を手掛け、CMやPVなどの映像作品で高い評価を受ける耶雲哉治。本作で長編映画デビュー。かの岩井俊二作品を彷彿とさせる叙情的な映像と、ときにコミカルなタッチで、15歳の日常生活のきらめき、思い悩む姿、思春期特有の脆く残酷な世界を映し出している。
更に、3ピース・ピアノバンドWEAVERによる書下ろし主題歌「こっちを向いてよ」(A-Sketch)が物語を彩っている。